犬でもできる競馬血統予想

血統を中心に組み立てた競馬予想をだれでもわかりやすいように書きます。筆者が犬顔らしいのでこんなタイトルですが深い意味はありません(笑)

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血統コラム~キタサンブラック産駒はなぜ走るのか~

 

こんばんは。ちゃろです。

 

いつもご覧いただきありがとうございます。

皆さま競馬は満喫しておりますでしょうか。

 

今日は血統コラムとしてずっと書きたかったネタを書くことにしました。

テーマはキタサンブラック産駒はなぜ走るのか」です。

 

 

 

キタサンブラックとはどんな馬だったのか

 

最近競馬を見始めた人は知らない人もいると思うので本題に入る前にキタサンブラック自身に少し触れておきたい。キタサンブラックは15年から17年まで活躍した競走馬で有馬記念菊花賞天皇賞(春)連覇などGⅠ7勝。獲得賞金は18億を超えている。16年、17年と年度代表馬に選出され、顕彰馬にも選出された名馬だ。歌手の北島三郎さんが事実上の馬主だったことでマスコミが取り上げやすかったこともあるが、それ以上の成績を残し、人気、実力ともまさにトップホースだった競走馬である。


17年の有馬記念を最後に引退すると種牡馬入り。21年に産駒がデビューするとイクイノックスが東スポ杯2歳Sを制し、いとも簡単に重賞制覇を達成。そのイクイノックスは翌年天皇賞(秋)を勝利し、キタサンブラック産駒として初のGⅠ制覇を達成。そして23年ソールオリエンスが皐月賞を制し2頭目のGⅠホースとなった。キタサンブラック産駒はなぜ走るのか。血統背景からその謎に迫ってみたい。

 

キタサンブラックの血統背景を探る

 

ここではキタサンブラック自身の血統について考えてみたい。

ブラックタイドはあのディープインパクトの全兄。現役時代は3歳時にスプリングSを制したが、本番の皐月賞では2人気に推されるものゲートで出負けし、前有利な馬場もあり末脚は不発に終わった結果16着と大敗している。
この皐月賞後に屈腱炎というケガをし、2年間の休養に追い込まれる。2年後にダート戦で復帰し、その後は中山金杯で3着に入るなどまずまず好走したが、結局再び重賞を勝つことはできなかった。屈腱炎がなかったらどれくらいの成績を残したのだろうか。
その後ディープインパクトの全兄ということで種牡馬入り。440キロ前後だった弟のディープインパクトとは異なり、ブラックタイド自身は500キロ前後の馬格があった。これはブラックタイドの特徴でもあり、瞬発力を最大の特徴とするディープインパクトとは反対にパワーに優れており産駒にも受け継がれやすい特徴となっている。

ちなみにブラックタイド種牡馬としてこれまで5頭の重賞馬を出しているがGⅠを制したのはキタサンブラックただ1頭だ。

母シュガーハートはサクラバクシンオーの血を引く。素質を評価されていたものの、デビュー前にこちらも屈腱炎を発症し未出走。母母父ジャッジアンジェルーチはカリフォルニアンSなど北米ダートの中距離GⅠを3勝した馬だった。

 

 

キタサンブラック産駒はキタサンブラックだと思ってはいけない


キタサンブラックと言えば最大の特徴は芝の中長距離戦で見せた強靭なスタミナとスピードの持続力にある。ただし、キタサンブラック産駒で重賞を制したイクイノックス、ガイアフォース、ソールオリエンス、スキルヴィング、ラヴェルはいずれも上記のキタサンブラックの特徴とはあまりマッチしない印象を受ける。(かきつばた記念を勝利したウィルソンテソーロは後述)

 

ここでまずキタサンブラックの血統表を見てほしい

 

 

キタサンブラックの父ブラックタイドは先述した通り本来はパワーを長所とし産駒に伝える特徴がある。

母系はいずれもナスルーラで母父サクラバクシンオースプリンターズSを制するなど短距離路線で活躍した欧州型ナスルーラプリンスリーギフト系)。母母父ジャッジアンジェルーチはカリフォルニアンSなど北米ダートの中距離GⅠを3勝した北米型ナスルーラボールドルーラー系)で構成されている。
スピードやパワーに優れる血統はあるもののスタミナの血を母系からは取り入れていない。それにも関わらずキタサンブラックはスタミナを武器に中長距離で活躍したのである。

ここで一つ仮説を立てる。キタサンブラックの父がブラックタイドではなく、全弟のディープインパクトだったら不思議に思うだろうか。ディープインパクト武豊騎手が「空を飛んでいるようだ」と話した爆発的な瞬発力が特徴的ではあるが、菊花賞天皇賞(春)有馬記念阪神大賞典と2500m以上の重賞を4勝しており、スタミナも十分。人によっては「ディープインパクトステイヤーだ」という人もいるくらい。ブラックタイドディープインパクトは全兄弟なのでディープが持つスタミナと同じ要素がキタサンブラックに遺伝したと考えても全くおかしくないと筆者は考える。先述したようにキタサンブラックの母系はスピードとパワーの血があるのでサンデー系(ディープインパクトが持つような)本来の瞬発力やスピードはさらに強化されたと考えることができる。

 

全兄弟だからといって馬格や能力が全く同じにならないのはすこぶる当然のことである。人間ですら性格や特技が異なる兄弟なんて山ほどいるのだ。馬の世界だって当然と言える。繰り返しにはなるが全兄弟でもディープインパクトブラックタイドの特徴は異なるし、キタサンブラックにもエブリワンブラックという全弟がいたが、兄よりも能力の方向性がパワーに寄ってしまいスピードがなかったため主戦場はダートでキタサンブラックのような成績を残すことができなかった。筆者はこのエブリワンブラックこそブラックタイドの能力を引き継いだのではないかと感じている。

 

キタサンブラックの500キロを優に超える迫力満点の馬体はどうしてもディープインパクトではなくブラックタイドを連想してしまう。それ自体は間違いないではないだろう。ただ、産駒についてはまったく違うイメージを持たないといけない。キタサンブラックの産駒で勝ち上がる馬はおそらくキタサンブラック自身の特徴ではなく、ディープインパクトに近い能力を有することができるのだ。逆に条件戦をなかなか勝ち上がれない馬はキタサンブラックというよりブラックタイドの特徴が強く出るタイプではないかと考えている。

 

19年にディープインパクトはこの世を去った。今ではディープインパクト産駒がたくさん種牡馬になりその血を伝えているが、最大の武器であった瞬発力を伝える真の後継馬はまだ見当たらない。もしその瞬発力を全兄弟の遺伝子を持つキタサンブラックが伝えることがあったとしたら何とも皮肉なものだなと感じる。

 

繁殖牝馬の質の高さ

 

もう一つキタサンブラック産駒が走る大きな理由に繁殖牝馬の質の高さがある。キタサンブラックは引退後は北海道の社台スタリオンステーション種牡馬入りした。社台スタリオンステーションといえばサンデーサイレンスを筆頭にトニービンノーザンテーストなど日本の競馬史を作ってきた輸入種牡馬たちも過ごした一大勢力。日本の競馬界の中心と言える社台グループで種牡馬になったのはとても大きく、交配するために集まる繁殖牝馬の質がかなり高い。

さらにキタサンブラックは大系統ミスプロ系の血を持っていない。リファール系の血のクロスやノーザンテーストの血などノーザンダンサー系の血は持っているが、これも3代より前でだいぶ薄くなっている。よって繁殖牝馬の選択肢がとても広いのが強みである。

まだ種牡馬として競走馬を送り込んでわずか3年での成績であり、さらに新しいニックスや配合パターン、育成ノウハウの確立が見えてくればキタサンブラックの今後はますます伸びしろがありそうだ。

 

キタサンブラック産駒の代表馬

 

ここからは実際に活躍しているキタサンブラック産駒の血統について見ていきたい。

 

イクイノックス

 

 

22年に年度代表馬となったイクイノックスは筆者にとって最初にキタサンブラックのイメージを覆してきた馬。この馬の切れ味を見たときに「この能力はどこから来たのか」と思ったのは筆者だけではないだろう。東スポ杯2歳Sでの上がりは驚愕の32秒9。説明してきた通りキタサンブラックのイメージとは逆の末脚の切れる馬だ。

血統的には母父キングヘイローはリファール系でスピードやスタミナを強化する。母母父はトニービン。ご覧の通り母系は欧州血統だが、すごく重厚な血統があるわけではなくスピードを強化できたことがわかる。4ラインに北米型血統がないにも関わらずこの切れ味を生み出すあたりにこの馬の潜在能力を感じる。

 

 

ソールオリエンス

 

 

重馬場で行われた皐月賞を勝ったソールオリエンス。もちろん展開や馬場が向いたレースだったが、タフな競馬で力を発揮するのは血統が証明している。母父モティヴェイターは自身が英ダービー馬で産駒には凱旋門賞連覇のトレヴがいる。日本では母父としてタイトルホルダーやステラリアを出している。母系が欧州型ノーザンダンサー系×欧州型ナスルーラ系という配合は先ほどのイクイノックスと同じだが、こちらの方が欧州色が断然強く、いわゆる”重厚な血統”と表記される部類だ。馬力が問われるタフな競馬に強く、重馬場の皐月賞で力を発揮できたのも納得できる。おそらくダービーで人気になるだろうが、軽い瞬発力勝負になるダービーとこの馬の能力の適性は異なる。そのため現時点では筆者予想で軽視するのではないかと思っている。

 

 

ガイアフォース

 

セントライト記念を制し、先日のマイラーズCでも2着と好走したガイアフォース。この馬は上記に頭とは少し違う血統構成。1つは4ラインに北米型血統が入っていること。基本的にはサンデー×北米型血統は成長が早く、根幹距離を中心とした主流条件に強いのが基本的な考え方。母父クロフネはフィリーサイアーで良質な牝馬を数多く輩出しているが、距離の壁がある馬でもある。1番人気で凡走した菊花賞に向かなかったのは安易に想像できる。母母父がダンスインザダークでスタミナのイメージを持った人もいるかもしれないが、母系にダンスインザダークが入り距離適性が極端に長くなった例はあまり多くない。サンデーの3×4でむしろスピードが強化された模様。

 

 

ラヴェル

 

 

後の桜花賞馬リバティアイランドを抑えてアルテミスSを勝ったラヴェル。この馬はサンデー系×サンデー系の配合でサンデーサイレンスの3×3を持つ。今後増えていくだろうこの配合パターンは父、母父のどちらの特徴が出ているか。また4ラインの構成を見て特徴が出ているかを考えるのが良いだろう。ラヴェルは脚を溜めれば33秒の脚は使えるのだろうが、ダイワメジャーの能力が強く本質的には切れ味で勝負する馬ではないと考えている。今後は更なる距離短縮も選択肢に入ると思われる。

 

 

スキルヴィング

 

青葉賞を勝ち、日本ダービーへの切符を掴み取ったスキルヴィング。この馬の母父はロベルト系の中ではスピードがあるシンボリクリスエス。上の馬たちを例にすれば母父北米型血統のガイアフォースやラヴェルよりスタミナに長けるのは想像に難くない。事実東京2400mという同じコースにも関わらず青葉賞日本ダービーと比べて欧州型血統の好走が多い。それはスタミナや馬力といった欧州的な能力が求められるレース質だからだろう。この馬も母母父はアドマイヤベガサンデーサイレンスの3×4を持つ。欧州型血統の影響を受けているものの重厚でゴリゴリの欧州色が強いわけではないのがスキルヴィングの特徴と言える。

 

 

ウィルソンテソーロ

筆者がこのネタを書いてまとめようと思ったら、かきつばた記念を勝ってしまったウィルソンテソーロ(笑)。上記の5頭との決定的な違いは母父も母母父も北米型血統ということ。芝でデビューするも3戦大敗し、ダートに転向したところ4連勝でオープン入り。先日名古屋のかきつばた記念を勝利し重賞初勝利を挙げた。母系の北米型が強いとキタサンブラック(というよりブラックタイド)のパワー要素が強くなりダートでの活躍馬も生まれるのだろう。

 

 

最後に・・・

 

いかがでしたでしょうか。

 

キタサンブラック1頭の血統を取ってみても、これぐらい書けてしまうほど血統というのは奥深い。もちろん私は専門家ではないから、個人的見解に過ぎません。私は1人の血統をファクターとする予想家として「なぜこの血統が走るのか」という根拠を考えることを大切にしています。(ただ血統研究が好きなだけですが)

 

需要があるかわかりませんが、こんなコラムもたまに書ければなんて思っています。

さぁ、春のGⅠがまだまだ続きます。頑張っていきましょう!

 

 


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